先日、引越し業者に訪問見積もりに来てもらって契約しましたが、引越し業者の担当営業マンがあまりにも頼りないので、他の引越し業者からも見積もりを取ろうと考えています。
先日、契約した引越し業者からは既に荷造り用のダンボールやガムテープをもらっていますが、キャンセルするとキャンセル料はかかりますか?
引越しをキャンセルすると、引越し業者からもらったダンボールは買い取りになりますか?
引越し業者はダンボールを返却するために自宅まで取りに来てくれますか?
A.引越しの3日前までキャンセル料はかかりません
引越しサービスはキャンセルの申し出が引越しの前々日(平成31年に標準引越運送約款が改定されました)3日前までであれば、標準引越運送約款でキャンセル料がかからないようになっています。
標準引越運送約款、第8章の第20条 2前項の解約手数料又は延期手数料の額は、次の各号のとおりとします。
1.見積書に記載した受取日の前日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき見積書に記載した運賃の10パーセント以内
2.見積書に記載した受取日の当日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき見積書に記載した運賃の20パーセント以内
平成31年に標準引越運送約款が改定されました
標準引越運送約款
最終改正 平成三十一年三月八日 国土交通省告示第三百二十一号
(解約手数料又は延期手数料等)
第二十一条 当店が、解約手数料又は延期手数料を請求する場合は、その解約又は受取日の
延期の原因が荷送人の責任によるものであって、解約又は受取日の延期の指図が見積書に
記載した受取日の前々日、前日又は当日に行われたときに限ります。
ただし、第三条第七項の規定による確認を行わなかった場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません。
2 前項の解約手数料又は延期手数料の額は、次の各号のとおりとします。
一 見積書に記載した受取日の前々日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積
運賃等(料金にあっては、積込み、取卸し、搬出、搬入、荷造り及び開梱に要するもの
に限る。次号及び第三号において同じ。)の二十パーセント以内
二 見積書に記載した受取日の前日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき
見積運賃等の三十パーセント以内
三 見積書に記載した受取日の当日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき
見積運賃等の五十パーセント以内
標準引越運送約款が改定され引越しの前々日からキャンセル料が発生します
平成までは引越しの前々日までキャンセル料が発生しませんでしたが、令和になってからは引越しの前々日からキャンセル料が発生するようになりました。
また、キャンセル料の内容も以下のように変更されています。
引越しの前々日のキャンセル 見積書にある運賃の0%→20%以内
引越しの前日のキャンセル 見積書にある運賃の10%以内→30%以内
引越し当日のキャンセル 見積書にある運賃の20%以内→50%以内
引越しサービスをキャンセルするのにキャンセル料金が発生するのは前々日からですので、引越しの3日前までのキャンセルならキャンセル料金は請求されません。
引越し業者にとっては朗報の標準引越運送約款改定
引越し前日のキャンセルで運賃の10%、引越し当日のキャンセルでも運賃の20%しか請求できなかった平成までの引越しサービス。
相見積もりが当然の現在、引越し業者が普通に引越しを受注するのでさえなかなか高いハードルがあるのに、前々日のキャンセルまではキャンセル料がかからなかった平成時代は、引越し業者には不遇の時代だったと言えます。
例えば前々日に引越しがキャンセルになったとして、空いたトラックの予定を埋めるために明後日、引っ越しするユーザーを引越し業者が探し出すことはまず不可能です。
また、平成時代は引越し当日にキャンセルされてもキャンセルしたユーザーに対して運賃の20%しか請求できなかったのです。
引越し当日のキャンセル料金運賃の20%では仕事がなくなった引越し作業員の日当を埋めることさえできませんでした。
標準引越運送約款の改定によって引越し当日のキャンセルは運賃の50%までキャンセルしたユーザーに請求できるようになりました。
これで仕事がなくなった引越し作業員の日当くらいはまかなえそうです。
ホテルなどの宿泊サービスでは当日のキャンセル料は100%です。
A.引越しをキャンセルすると契約時にもらったダンボールやガムテープなどの梱包資材代金を請求、または梱包資材の返却を要求されます
引越しの契約時に引越し業者から受け取った梱包資材は、契約時の見積書に書いてある代金で引越し業者から買い取るか、引越し業者に返却しなければなりません。
標準引越運送約款、第8章の第20条 2前項の解約手数料又は延期手数料の額は、次の各号のとおりとします。
3.解約の原因が荷送人の責任による場合には、解約手数料とは別に、当店が既に実施・又は着手した附帯サービスに要した費用(見積書に明記したものに限る)を収受します。
ユーザーから引越しサービスのキャンセルの申し立ては、引越し業者からすれば契約の時に渡したダンボール、ガムテープ、その他の梱包資材は「当店が既に実施・又は着手した附帯サービス」に該当します。
ですから、引越し業者はキャンセル料とは別にダンボールなどの資材代を請求することができるわけです。
引越しの見積もり時に特に確認せずにダンボールを受け取ってしまうと、引越しサービスをキャンセルした時に返却を求められる
契約時に引越し業者から受け取ったダンボールなどの梱包資材は、引越しのキャンセルと同時に返却すれば代金を請求されることはありません。
引越し業者から受け取ったダンボールなどの梱包資材はユーザーが引越し業者に持ち込めば、キャンセルした引越し業者には1円も払う必要はないのです。
しかし、引越し業者の1営業所はかなり広い範囲をカバーしていることが多く、とんでもなく遠い場所にあったりします。
実際に引越し業者の営業所の所在地は、ユーザーがダンボールなどの梱包資材を返却すること自体、困難な場所であることも珍しくありません。
また、引越しをキャンセルするためにダンボールなどの梱包資材を返却するする労力は、資材の代金に見合わないものであったりします。
宅配便などで引越し業者宛に送る方法もありますが、ダンボールは嵩張るうえに重量がありますから、送料はかなりの金額になります。
もし、引越し業者からもらったダンボールなどの梱包資材を一部でも使ってしまっていたら返却することはできませんから、引越しをキャンセルするタイミングで資材代金を請求されます。
引越しの契約時に特に確認せずにダンボールを受け取ってしまうと、キャンセルした時に梱包資材の代金を請求される
引越し業者を決めてダンボールなどの梱包資材を受け取ったあとで引越しをキャンセルすると、受け取っていたダンボールは返却か、見積書に記載してある価格での買取りを求められます。
これは「ダンボール50枚無料サービス」と謳っている引越し業者であっても同じです。
ダンボール無料サービスは「ご制約時に」という条件をつけています。
ですから、引越しをキャンセルすることで「ご制約時に」の条件が外れてしまいますので、ダンボールなどの梱包資材代を請求されることになります。
引越し業者の見積書にはダンボールなどの梱包資材の定価がちゃんと書いてあります。
訪問見積もりの時に引越し業者からもらったお手元の見積書を見てください。
たいていの場合、引越し業者が作成する見積書にはダンボールなどの梱包資材代を一旦正規金額で記入したうえで値引きし、サービスと書き込んでいます。
万一、引越しをキャンセルされた時にダンボールなどの梱包資材代を請求できるよう、しっかりと記入しているのです。
キャンセルされた引越し業者は返却するダンボールを取りに来てくれない
引越し業者はサービスをキャンセルされるわけですから、キャンセルしたユーザーのために引越し業者が動くことはまずありません。
「見積もりの際に強引にダンボールを置いていった」「キャンセルしても返さなくていいと言った」など、見積もりの際に引越し業者側に落ち度がない限り、キャンセルされた引越し業者がダンボールなどの梱包資材を引き取りに来てくれることはありません。
無料ダンボールは引越し業者にとってキャンセル防止のための秘策になっている
引越し業者が無料でダンボールを提供してくれるのはユーザーにとってとても大きなメリットです。
引越しの荷造りにはダンボールが必需品ですし、自分の荷物の荷造りに必要なダンボールの枚数も引越し業者が教えてくれます。
ユーザーにとって引越し業者から無料でダンボールを提供してもらうデメリットは、まさに引越しをキャンセルする時にのみ発生します。
ダンボールを貰ってしまうと物理的に引越しをキャンセルしづらくなる
引越し業者が無料でダンボールを提供してくれることは、引越しをキャンセルしなければメリットしかありません。
引越しの日時だけの変更や日延べで、利用する引越し業者を替えない場合は「引き続きダンボールをお使いください」ということになりますから、引越しをキャンセルする時にのみ発生するデメリットと言えます。
引越し業者からダンボールをもらったあとで上手にキャンセルする方法
引越し業者からダンボールをもらった後で上手に引越しをキャンセルするには、他の引越し業者から見積もりを取る時に「前の引越し業者のダンボールなどの梱包資材の返却を代行しする」という条件を付け加えることです。
引越しを実際に依頼する引越し業者に、キャンセルしたい引越し業者が置いていったダンボールなどの梱包資材を返却してもらうのです。
キャンセルした引越し業者へのダンボールの返却を利用する引越し業社に頼む
実際、引越し業者の営業マンのほとんどは、前の引越し業者が置いていったダンボールを返しに行った経験があります。
引越し業界ではよくあることです。
引越し業者の営業所が遠方だった場合や、気の弱い営業マンなどは、たとえ近くに返却するべき他の引越し業者の営業所があっても、一旦自社に帰ってから宅配便を使ってダンボールなどの資材をユーザー名義で返送します。
ですから、引越し業者間のトラブルは全くありません。
これでユーザーがダンボールなどの梱包資材について心配することはなにもなくなるのです。
この方法は一旦契約した引越し業者に不信、不安があり、引越しを依頼する引越し業者だけを替える場合にのみ有効な方法です。
引越し自体をやめるとき、つまり、引越し業者を一切使わない場合には使えません。
契約した引越し業者に不信、不安があったわけではなく、引越し自体が延期、中止になった場合、ダンボールなどの梱包資材を提供した引越し業者によく相談してください。
次の引越しをその引越し業者に依頼する約束をすれば、たいていの場合ダンボールなどの梱包資材はそのまま使わせてもらえるはずです。
まとめ
A.引越しの3日前までキャンセル料はかかりません。
平成31年に標準引越運送約款が改定され、引越しの前々日までキャンセル料が発生します。
標準引越運送約款の改定によって引越し当日のキャンセルは運賃の50%までユーザーに請求されます。
引越しをキャンセルすると契約時にもらったダンボールやガムテープなどの梱包資材代金を請求、または梱包資材の返却を要求されます。
引越しサービスをキャンセルされた引越し業者は返却するダンボールを取りに来てくれません。
ダンボールを貰ってしまうと物理的に引越しをキャンセルしづらくなりますので、ダンボールの無料提供はキャンセル防止のための秘策になっています。
引越し業者からダンボールをもらったあとで上手にキャンセルする方法は、引越しを実際に依頼する引越し業者に、キャンセルしたい引越し業者が置いていったダンボールなどの梱包資材を返却してもらうことです。