引越し業者に訪問見積もりに来てもらったら、「お客様の荷物の量は4トントラック一台分ですが、引越し当日は2トントラックでピストンします」と言われました。
引越し先が車で5分程度の近場なので、荷物を2回に分けて運ぶとのことで、「4トントラック1回で運ぶよりも多少時間がかかりますがお安くなりますよ」と言われました。
そもそもピストンとは何なのか、また、どのようなメリット、デメリットがありますか?
A.引越しにおけるピストンとは旧居と新居を往復して荷物を運ぶ輸送方法の事です
引越しにおけるピストン輸送とは、引越しする荷物の総量よりも積載量の小さいトラックを使って、旧居と新居を往復し、すべての荷物を運ぶ輸送方法です。
旧居と新居が近いこと、引越しにかかる時間に制限がないことなどの条件はありますが、荷物の総量よりも積載量の小さいトラックを使ってピストン輸送すると、大きめのトラック1台、もしくは中型のトラック2台を使って引っ越しの荷物を一度に運ぶよりも引越し料金が安くなります。
ピストン輸送するとなぜ引越し料金が安くなるのか
引越しの料金はその引越しに必要となるトラックの大きさ、作業員の人数、作業に要する時間など、様々な要素から計算されます。
中でも特に重要なのが引越しに必要となる作業員の人数です。
例えば同じ4トントラック分の引っ越しをするにしても3人の作業員で引越しするのと、5人の作業員で引越しするのでは、当たり前ですが前者のほうが安くなります。
通常、4トントラック一台分の引越しをピストンせずに1度で終わらせようとすれば、2台の2トントラック、もしくは4トントラック1台を使用し、4~6人程度の作業員が必要になります。
引越しにおけるピストン輸送では、旧居と新居を往復するわけですから、同じ作業員が同じ場所で2度作業することになります。
つまり作業員の延べ人数で言うと、同じ大きさのトラックを2台用いた引越しと変わらない6人になるのですが、実際に引越しに携わった作業員は3名ということになります。
ピストン輸送の引越しでは引越し作業員の数が半分で済むのが引越し料金が安くなる理由の一つです。
ピストン輸送は引越しに使用するトラックの大きさ、台数、作業に当たる作業員の人数を最小限に抑えることができる輸送方法です。

ピストン輸送で引越しすることで引越し料金は安くなりますが、引越しにかかる時間は長くなります。
引越しにおけるピストン輸送の条件
旧居と新居が近いこと
引越し業者の判断にもよりますが、5kmくらいの距離までがピストン輸送できる範疇といえます。
移動時間が長い引越しでは、必要以上に時間がかかってしまい、ピストンすることで逆に効率が悪くなってしまいます。
作業時間に制限がないこと
実際にピストンでの引越しは、一気に引っ越しした場合の1.5倍程度時間がかかります。
また、旧居でも新居でも2回以上の作業が必要になります。
例えば、新築マンションの一斉入居や管理会社からの許可などで、エレーベーターの使用時間が決まっているような引っ越しの場合、新居で2回以上の作業をすることは現実的ではありません。
他にも引越しの終了時間に制限があるユーザーの引越しにピストン輸送は不向きです。
引越しにおけるピストン輸送のメリット
引越し料金が安くなる
同じ荷物量の引っ越しなら、1回で運びきれるトラックを1台使うより、一度では積みきれない大きさのトラックを使ってピストン輸送する方が安い見積もりになります。
引越しに使用するトラックの大きさ、トラックの台数、作業員の人数を最小に抑えることができるからです。
引越しにおけるピストン輸送のデメリット
立ち会いが二人以上必要、もしくは立会人の移動が必要
ピストン輸送では、旧居と新居でそれぞれ複数回の荷物の搬入搬出作業を行うことになりますので、それぞれの作業に立会いが必要になります。
ユーザーの移動手段に不安があるなら、旧居と新居にそれぞれ一人ずつ立会人を置く必要があります。
引越しに立ち会うユーザーが一人しかいない場合、トラックの移動に合わせて、ユーザーも移動しなければなりません。

引越し業者の引越し作業には必ずユーザーの立ち会いが必要です。
引越しに時間がかかる
ピストン輸送は1回で運び切る輸送方法に比べると時間がかかります。
時間が掛かると言っても、単純にかかる時間が倍になるわけではありません。
建物の養生や家具の梱包は一度で済ませてしまいますので、往復の移動時間分長くなるイメージです。
まとめ
引越しにおけるピストンとは旧居と新居を往復して荷物を運ぶ輸送方法の事です。
- 荷物の総量よりも積載量の小さいトラックを使ってピストン輸送すると、大きめのトラック1台、もしくは中型のトラック2台を使って引っ越しの荷物を一度に運ぶよりも引越し料金が安くなります。
ピストン輸送の引越しは、作業員の数が半分で済むのが引越し料金が安くなる理由の一つです。
引越しにおけるピストン輸送することができる条件は、旧居と新居が近いことと、作業時間に制限がないことです。
引越しにおけるピストン輸送のメリットは引越し料金が安くなることです。
引越しにおけるピストン輸送のデメリットは、立ち会いが二人以上必要、もしくは立会人の移動が必要なことと、引越しに時間がかかる事が挙げられます。